(0)発端

4月の休日−正午すこし前。
不眠状態で布団の中で恐慌状態になっている私の枕もとで、携帯電話の着メロが鳴った。
メロはキングクリムゾンの名作「21世紀の精神異常者」。
――ヅラヲ氏だ。


私 「・・・もしもし」
ヅラヲ 「もしもしタチさん? ん? 声が震えてるけど」
私 「最近眠れなくて・・・」
ヅラヲ 「ふーん。そんなあなたに朗報です。たまには外の空気を吸ってみませんか」
私 「・・・どういうことですか」
ヅラヲ 「5月中旬にG市で旧車イベントが開かれるとのことで、メキシカンオレンジさんという方からメールでお誘いを受けました。探索隊の三人の住む場所からもそう遠くはないので、行ってみませんか」
私 「はあ・・・。自分なんかが行ってもいいんですかね・・・?」
ヅラヲ 「まあ、却下したいところですが、特別に」
私 「・・・・・・」
ヅラヲ 「たまにはそういうのを見に行くのもいいと思いますよ。不眠も治るでしょう」
私 「そういうもんなんですか」
ヅラヲ 「いや、知らんですが。ともかく行く気があるならその旨をメールでください」
私 「・・・はぁ。ところでそれは・・・」
ヅラヲ 「じゃ、そういうことで。私はこれから個人的に草ヒロ探索に出かけますので」
私 「や、ちょっと待って。あの、それは」
ヅラヲ 「草ヒロは時間との戦いです」
私 「だから、その」
ヅラヲ 「では」
ブツリ、プー、プー、プー。
 かなり一方的な用件が矢継ぎ早に告げられ、電話は切られてしまった。
 ともかくも、そんな発端で、ジツト・エージエンシーの旧車イベント見学という予定が決まったのである。


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