'08 10月総評



 ・・・幼少の頃、毎年のように家族で伊勢神宮へ初詣に行っていた事を突然ヅラヲは思い出しました。
思い出したらすぐ決行、ということで、次回は探索しがてら意外にもこのメンツでは今まで行っていなかった伊勢神宮へ参拝に行ってみようと考えました。悲しいかな、探索する際の「サブタイトル」が常につきまとうのが我々なのです。


 そんなわけで最近は探索以外の事に意義を見出しつつある(結果が出ないので無理矢理見出そうとしている、という見方もありますが)不肖ZITエーヂェンシーはこのドライブに最適な時候、磯の香り漂う志摩半島をのんびり走ってお伊勢さん詣で(そしてちょっぴり探索)をして参りました。


 行きの車中はお笑いのDVDなぞを見つつケラケラと笑いながらのゆるやかな時を過ごしつつも、探索を密かに実行しているヅラヲの眼は笑っていなかったのをあとの二人は恐らく気付いていなかったでしょう。笑っていないからといって鋭い眼光を保っていたわけでなく、たいがい死んだ魚のような目でしたが。

 そんなヅラヲの焦る気持ちを裏切るかのように、志摩半島で目にしたのは草ヒロではなく、そびえ立つ大きな観光ホテル。それは二時間モノのサスペンスドラマでは常連といった感じの風情で、「事件を追って東京から駆けつけた刑事と、たまたま来ていた旅行先でわざわざ事件に首を突っ込んで危険な目に遭う好奇心旺盛なOL三人組」のやり取りを何度も見てきたかのような圧倒的な存在感でもって、妄想力だけは人一倍の我々の心を弄ぶのでした。大写しのホテルの下部に「○○ホテル」というテロップが浮かび、目の前の湾や橋にも同様にテロップが付きます。そして初老の刑事が難しい顔をしてパトカーを降りたところへ、OL三人組が現れ、「また君達か!」と目を剥く刑事の苦々しい顔・・・。イカンイカン、妄想は天井知らずです。


 さて、肝心の伊勢神宮(内宮)はと言うと、三連休の最中とあってかなりの人出でありました。
 老若男女が集まり、外人さんたちのご一行も通り過ぎていきます。そして石段の歩みの遅いこと。撮影禁止の立て札も構うことナシにケータイで写真を撮りまくる人々。「カシャッ」「ピロチョロリーン」「ピキャ」「ポイーン」「キャシャッ」・・・ケータイカメラのシャッター音がそこかしこで響きます。
 おかげ横丁に迷い込んだ我々、運転が控えているインチンは試飲の酒たちにを垂らさんばかり。タチはなぜか山口誓子の句集を購入。キセルの販売所では、安価にキセルがその場で吸えるので、インチンはさっそくプカリプカリ。もうすでに「草ヒロ」の「く」の字もありません。いかにも普通の観光客のようにぶらりぶらりと回り、神宮を出たのは夕方遅く。「明日も休みだし、帰るのかったりーなー」という感覚がひしひしと湧いてきて、さて我々が考えたのは「疲れたので適当な宿に転がり込んで一泊しようか」というものでした。


 ナビで検索をして片っ端から電話をかける、観光地ということで苦戦が予想されましたが、わずか二軒目のビジネスホテルで飛び込みOKという意外な展開に思わず拍子抜け。

 宿まで車を走らせ、それぞれの部屋に落ち着いてからまた集まり、「もうこれで寝る場所は確保したから、メシついでに飲むべ」と、近くの居酒屋チェーンのひとつに出向きました。疲れがほぐれたのと酒の勢いもあり、濃厚なオタクっぽい話がヒートアップ。特にオタク加減では群を抜くインチンが口角泡を飛ばしてガンダムやらゲームやらの話を矢継ぎ早に浴びせ掛けてきますが、何を言っているのかさっぱり分かりませんでした。時折り「ぐわははは!」と笑うのにあわせて「うはは」とテキトーに調子を合わせていただけなのですが、それはひみつのお話です。


 九時を回った頃に店を出、夜風の心地よさにしばらく静かな町をお散歩。店という店は閉まり、コンビニの明かりのみが眩しく灯っているだけです。頼りなげな街灯が点在する昔ながらの薄暗い商店街の通りを歩き、そのなかに灯る小ぶりな飲み屋の提灯に惹かれ、調子に乗った三人は「せっかくなので一杯呑み屋に飛び込んでみよう」と、昭和の香り漂うその扉をあけました。

もはや車をメインとしたサイトは原型を留めなくなってきています。


 そんな我々が入ったのは二人の老婦人が切り盛りしている典型的な地元の居酒屋。奥行きもなく、五人も座ればいっぱいの手狭なカウンターに座りましたが、これがまた何ともいえずイイ感じ。年配の先客がいましたが、探り探りながら世間話などを交わし、しだいに打ち解けていく一座の空気。おつまみも地のものを頼み、カウンターの向こうの老婦人方に色々とお話を伺います。
 さすがに経験豊富なご両人は、不自然さを拭えないこんな我々にもごく普通に対応し(当然のことなんですが)、色々なお話を聞かせてくれました。神宮のこと、戦争のこと、地元のこと、あんなこと、こんなこと・・・、その全てが耳新しく聞こえとても有意義な時間を過ごすことが出来ました。インチンお得意の下卑た「ジョーク」も、こんな場所に似つかわしく、ナチュラルな笑いが溢れます。ホテルからのケータイに掛かってきた電話にやっと腰をあげたようなもので、いつのまにか零時を過ぎようとしていました。誰が何と言ってもこれが旅の醍醐味なのです。


 草ヒロ探し?、ああそんな道楽もあったっけなあ。
誰も歩いていない静かな駅前通をとぼとぼとホテルまで歩き、軽い酩酊のなか、それぞれの部屋へと散りました。


翌朝、タチはやっぱり集合時間に遅刻。酒が残っているとは言え、どこまでも朝に弱い男の面目躍如といったところでしょうか。

 朝食は適当なファミレスで摂ることになりましたが、そこではいかにもイマドキといった風情の金髪少女が二人、昨夜の燃えるような出来事が夢物語だったかのように汚泥のごとくテーブルにつっぷし、もう一人はアホみたいに口を開けて座席にのけぞってイビキをかいていたのが印象的でした。


 毎度のことながら草ヒロには恵まれませんでしたが、社会人にとってかけがえの無い貴重な連休をこんな形で浪費するのもまた楽しからずや。


 そしてこんなどうにもしょうがない総評を最後まで読んで頂いた方に・・・ありがとうございました。


(ヅラヲ)


※ここでの評価はあくまで主観的なものであり、当方の感性によるものです。見る人によってさまざまな見方や感じ方がありますので、そういったものを批判・否定する意図などは全くないことをお断りしておきます。

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