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写真 当日は昼近くにG市に接しているO市集合ということになった。
というのもこの日、O市に住む隊員の一人が、午前中は歯医者の予定が入っていて、それを済ませてからの出発となったからである。
三人がそろって、いざG市へ舵を向ける。車中では当然のように歯医者の予定を入れた隊員に批判の集中砲火である。
「いくらなんでも今日歯医者じゃなくたって・・・」とインチン。「別の日にすりゃ良かったのに」ヅラヲも目を吊り上げている。
当の隊員は頭を掻いて小さくなっている。
しかしそのうち「今日は現役旧車のイベントなのに、廃車ならぬ歯医者とはこれいかに。ウハハ」などと、ヅラヲがオッサンセンス丸出しの一言を発すると、車内はやけに静かになった。

やがて一行は、イベント会場のある複合テーマパークの駐車場へと着いた。



着いたはいいのだが、そこはそれ、無計画な一行、とりあえず駐車したものの、どの区画でイベントが行われているかまったく分からない。

この手の牽引役であるヅラヲは何食わぬ顔で「どこだろうね」と周りを見回している。
インチンはインチンで「ふぁ〜。とりあえず入ってくるくる見てりゃ見つかるでしょ」と相変わらずイイカゲンだ。

駐車場を出て、かなり広いテーマパーク内へと入る。それなりに大きな複合施設なので、モールもあり遊園地もあり、見当もつかない。ただ、時折りイベント参加車と思われる車がちらほらと駐車場を出入りしているので、なんとなくのアテを見つけた感じで奥へと進む。
写真



写真 しばらくぶらぶらと歩いていくと、ヅラヲがかなり遠方にテントらしいものを見つけ、眼鏡をかけ直して「あれかな」と呟いた。

遠目に見ても、テントがあり、人が集まっている風で、間違いはなさそうだ。
ヅラヲはやおらデジカメを取り出すと、ファインダーに顔を寄せ、望遠で確かめている。歩いていけば分かるのだが、もう居ても立ってもいられないのだろう。
「あ、あれだあれだ。うわ、たくさん来てますよ。おお、あれはすごいですよ」
デジカメを覗きながら一人で興奮し始めている。

私とインチンはこういう状態のヅラヲは慣れっこなので、苦笑するだけである。そのまま歩いて現地を目指すのだが、相変わらずヅラヲはデジカメの望遠を覗き込みながら歩き、「あ、台数も結構すごい。あ、あんなのまで来てる。あ、あ」と呟きながら歩いていく。気の毒な言い方であるが、彼はやはり変態なのだ。



ついに会場にたどり着くと、やっとヅラヲはカメラをしまい、肉眼で周囲を見渡し始めた。
「うはぁ〜、かなりの台数ですね。これはかなり濃いぃですよ〜」
かなり濃いのはかく言うヅラヲ本人なのだが、それはいいとして、会場は広いスペースを活かしてびっしりと往年の名車を並べ、圧倒されるような景観になっていた。
「ほほう、この地方でこういうイベントがあるのは全然知らなかったですね。すごいね」
インチンは素直に驚いて回りを見渡している。
写真


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