其ノ四 「探索隊 豁然大悟すること」 (2) |
私は眠い目をこすりながら、またしても通勤渋滞に巻き込まれながら出社するハメになる。そのとき、私は我と我が目を疑った! 思わず急ブレーキを踏み、後続車のクラクションもかまわずステアリングを握り締め、文中に若干の誇張表現のあったことをお詫びすることも忘れ叫んだ! 「なくなってる!!」 そう、いつも目にしてたあの草ヒロがなくなっていたのである。 ないのが当然のように、今まで古びたライトバンのあった個所は畑の一部分と化していたのである。急ブレーキを踏んだのはその事実に驚いたからではなく、交差点の信号が赤に変わっていたことに寸前まで気づかなかったからである。 そうして私はしばし信号が青に変わるまでその新しい畑の部分を自失呆然として眺めていた。信号が青に変わってもボーと眺めていたので後続車に軽くクラクションを鳴らされたりした。渋滞が起きるくらいだからそこの道は恐らく多くの人たちが通勤に使う道なのであろう。 そんなに大げさに言わなくても、たかだか一台の廃車が撤去されただけじゃないかと思う思考も己の中にないわけではなかったが、その時はなんとはなく一種の物悲しさが胸に去来していたのである。 探索活動の合間の雑談でリーダーの口から何度となく撤去されてゆく草ヒロ達の話を聞いてはいた。そのときは残念がっているリーダーの気持ちがいまひとつ理解できなかった私であった。 しかしおそらくリーダーの感じ方とは違うかもしれないが、私は私なりに撤去されてゆく草ヒロに対しはじめて何かしらの感慨をもったのだろう。 無論、草ヒロ撤去反対! 旧廃車を大事に! と気勢をあげるわけではなく、誤解を恐れずにいうならば、新旧問わずして草ヒロ達は撤去されることは当たり前ということを前提にして楽しむものであろうと思うのである。 多少この雑文には似合わぬ重苦しい話であったかとも思うが、そんなことにチョイト思いを馳せた在る夏の日の出来事であった。 さて、のっけから夏だ、お盆だ、ドラえもん祭りだと話を始めといてなんだが、ここで話は幾分過去にもどる。 そう今から語ろうと思うのはいわゆるゴールデンウィーク中に敢行された我が探索隊始まって以来初の本格放浪旅についてである。 ■次ページ(3)へ ■前ページ(1)へ |
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