叢荘8148号室―インチンコラム「草ヒロ探索紀行」其乃七(3)
其ノ七
「探索隊 TAMに行く」
(3)


2006年3月某日。
 探索隊のメンバーはいつもの探索車でリーダーのナビに従い、一路トヨタ博物館に向った。

我が半生とTAM

クルマの助手席でヅラヲは他のメンバーに対し、己が半生TAMが如何に根底で密接に繋がっているかをトウトウと述べる。思えば多少浮かれていたのだ。
 タチは後部座席でしきりにうなづいている。インチンは折からの花粉症でうなづく代わりに時折大きなクシャミをする。
 やがて愛知万博の名残であるリニモの高架沿いに位置する博物館に到着した。
 駐車場に問題なくクルマをとめ、入り口に向う途中、再びインチンが辺りもはばからず大きなクシャミをした。ちょうど3人とすれ違おうとした帰路についていた老夫妻がそんなインチンを見て、はじかれたように笑い出した。クスクス笑いを耳にすることはありましたが、面と向って笑われたのは初めてですよ、えぇもう恥ずかしいよりもびっくりしましたね、と後にインチンは述懐している。

入場口でタチが目敏くアルモノに気付く。


 「音声ガイドを別料金で頼めるらしいですねぇ」


 小さなラジオみたいな機械を有料で貸し出ししており、付属のイヤホンをつけると、館内の展示物の前で説明が聞けるというのだ。ほぉ、とインチンもそれを眺めていると、


「そんなものは要りませんよ。私がいるじゃないですか


 とヅラヲがメガネを中指で押し上げて言う。なんとも心強い。
 まずはこっちからです、と慣れた感じでヅラヲが誘導してくれる。
静かで広大な空間  早速トヨタAA型を前に佇む3人。このトヨタAA型が1階と順路である次の3階で、訪れた人々をまずは出迎えてくれるわけだが、1階の方では博物館のお姉さんが常備されてて、観光客の姿を見つけると、このクルマの由緒を実に礼儀正しく説明してくれる。
 探索隊の面々もその説明を拝聴したが、ひとりヅラヲはお株を奪われたようでやや不満気味だった。

ときに、このお姉さんのカンペは完璧で、我々の訪れた直後の観光客にも、一礼の後、一言一句違わずに同じ説明を繰り返す。それを耳にして、こないだの万博にもいた精巧なロボットみたいですねぇ、とタチが呟いている。

前述したようにエスカレーターで順路を辿っていくと3階で同じトヨタAA型が待っているわけだが、こちらには解説お姉さんが常備されていない。ヅラヲは途端に水を得た魚のように生き生きして隊員に解説を始める。

「諸君、こちらにもご注目ください」

大げさに手をあげると、隊員にクルマの後ろ、壁面を指し示す。そこには色々な文献資料が展示されているのだが、なかでもトヨタ社訓みたいなものの前に隊員を連れて行き、ヅラヲは誇らしげに言った。

「まるでウルトラ五つの誓いみたいですねぇ」

ウルトラ五つの誓い・・・・・・!?

最近放映が始まった新シリーズ「ウルトラマンメビウス」第1回で、このウルトラ五つの誓いが出てくるので、誠にタイムリーな発言といえよう。


 でも、最近の子供に
「ひとつ、外は裸足で歩くこと」
ってのは如何なものか。

なんにしても草ヒロ探索隊だけあって、全般にわたって感心するポイントがちょっとずれているのは如何ともしがたい。




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