'09 5月総評 <其の一>

 今年(2009年)の黄金週間は暦通りの休日の企業でも土曜休みで五連休と、まとまった休みがあったのが特徴でした。

そんなまとまった休みをこの男達は放っておくはずがありません

実は結構前に今年の黄金週間はゴージャスに二泊しようという話をしていたのですが、もろもろの事情で投宿地を決めるのが遅れ、わずか半月前にようやく旅館を手配し始めるという暴挙に出たのでありました。今にして思えばこの土壇場によく宿がオサエられたものです。


さて肝心の場所はと言うと、どこにしようか考えあぐねていたヅラヲは過去の地域を確認していたところ意外な事に気が付きました。

それでは過去の黄金週間に私達はどこを彷徨ったのか軽くおさらいしておきましょう。



2004年:高野山シリーズ(二泊)

 戦慄の同宿坊二連泊にレア車との感動の遭遇

2005年:甲州シリーズ(一泊)

 深夜の麻雀ルームと果樹園草ヒロパラダイス

2006年:天橋立シリーズ(一泊)

 船と自転車とケーブルカーで普通の旅行気分。今となっては幻の遠征

2008年:吉野斑鳩シリーズ(一泊)

 ヒストリックでミステリアスなオトナの修学旅行



もうお気づきかと思いますが、そうです、実は黄金遠征では信州へまだ行ってなかったのです


と言うわけで今年は信州、しかも二泊なので思い切って通常探索では行けない北部まで遠出をすることに決定しました。





《一日目》


 三人の日頃の行いの良さが如実に表われたのか定かではないですが、天気は快晴、絶好のスタートとなりました。

が、案の定と言うべきか、スタートして1時間もしないうちに高速道路の渋滞にはまりこんでしまいました。高速1000円だから遠くへ行くのか、高速1000円大渋滞を嫌って家でジッとしているのか、考え方の違いで連休の過ごし方がガラリと変わるのが今年の特徴と言えましょう。


目的のインターで降りるまでなんと七時間以上を費やし(当初予定は五時間程度)、車載していたCDもあらかた聞き尽くしてしまいましたが、


「ああ、我らは今、ニュースとかでよくやってる何キロ渋滞という真っ只中にいるのだなあ・・・」


奇妙な充実感を抱いたのも事実であります。


途中、眺望の素晴らしい高台のSAで休憩。ヅラヲは年甲斐もなくゴージャスなソフトクリームを購入し、ベンチに座って人目もはばからず「ハ、ハフ、ハフハフッ」とかぶりつきました。身体が糖分を欲していたのです。それを見て二人の隊員は目を丸くしていましたが、もう気になりません。そういう年齢になったということです(笑)。


高速を降りたのは既に夕方。しかし少し探索しただけでも極上のB360を見ることが出来、ホクホク顔で私達が向かったのは信州でも有名な温泉郷。

一泊を求めるのは、建物が国の有形文化財に登録されているという大変由緒ある老舗旅館です。

隊員のタチが遠征のたびに「ワタシ、ココノ宿ニ一度イッテミタイ・・・」と病的に繰り返してきていたので、今回をその機会に当てたのでした。

実際、歴史を感じさせる木造の高楼が、まさに現実逃避と呼ぶにふさわしい佇まいでもって私達を迎え入れてくれました。

全員が感じたのですが、アニメ「千と千尋の神隠し」に出てきた油やを思わせます。あの建物のモデルのひとつであるとかないとか。真偽は別としてもまさにあの雰囲気でありました(笑)。




部屋に落ち着けば早速夕食、ということで渋滞のために昼飯をとるタイミングを失っていた我々にとっては待望久しく、特にインチンなんかは「さあああ! 食うぞおおお! まおおおおお!」と、腹ペコのオバQも裸足で逃げ出すくらいに全身胃袋状態、プラス長時間の運転でココロにやや変調をきたしている様子。夕食をとる広間へは迷宮のような館内を歩いて行きます。


席につきあぐらをかいて窓を見やれば、まだ太陽の残り火がわずかに残っており、なんとも言えない至福の時間。ところがいざ食事が運ばれると、そのあまりに豊富な品数とボリュームのため、件の胃袋男は途中から「ちょ、ちょ、あれ? く、苦しい・・・!」ともがき始め、ふだんは真っ先に食べ真っ先に食べ終わる健啖家が、食後のデザートを部屋に持ち帰るというまさかの行動に出たのでありました。


さてここの温泉郷は外湯巡りという非常に素敵な企画を行なっていて、苦労(九労)を流すという意味で郷内に点在する九つの共同浴場を宿泊客は自由に入る事が出来るというのです。


こんな魅力的で非現実なシステムに私達が飛びつかないはずがありません。食後で膨れた腹をさすりながら、しばらくは部屋で休憩した後、「んじゃ、行きますかいの」と回復も早かったインチンが先導して、早速浴衣姿で湯けむりの街に飛び出しました。


なにが新鮮かって、風情がそのまま「THE・温泉街」


下駄をカランコロンと鳴らす多くの湯浴み客が行き来し、湯宿ひしめく路地に射的やスマートボール、休み処、味のあるスナックなどが顔を見せ、この雰囲気には三人ともシビれまくってしまいました。




湯めぐりの外湯は通り沿いにこじんまりした和風の建物といった形で点在しています。まず手始めに一番湯。さあどんなもんだろうと入ってみたらそれはそれは熱い事! 言葉ではなかなか表現しにくいですが、足の先からピリピリ来る熱さ、思わず「いやいやいや(笑)」と笑ってしまう熱さ、と言えばお分かりになりますか。ともかく通常であればポットから出る「熱湯」というやつです。湯船のへりで「熱くて入れない」とうめいているうちにも、次々と湯めぐりの客が入ってきます。


気付いてみれば大して広くない湯船の周囲にはあまりの熱さに湯にさえ触れられない全裸の男達が数人揃って「アチチ!ウォアチチ!」とはしゃぐ異様な光景が広がっていました。これぞまさに非現実! 世代の別を飛び越え、「熱いッす!熱いッす!」「ホレホレ」「な、ナニしてんですか! 熱湯かけんでくださいよ!」などと若者から年配の方までまではしゃぎまわる非日常を楽しみました。
格差社会が叫ばれる現代日本、マッパで温泉に入れば誰も彼も同じという状況に、フル○ンが世界を救う、みたいななにやら一縷の望みを感じましたが、無論これは思考が溶けまくっていたからというのは明々白日です。


しかし慣れというのは恐ろしいもので、二つ三つと湯巡りをしている内に最初ほど熱さを感じなくなって、心に少しゆとりさえ出来るようになります。

とは言え、終了時間までに九つの湯を全て巡るのはさすがに難しく、結局(それでも)六つの湯を制覇したところで終了。その後自販機のジュースで水分補給をしつつ、夜灯がきらめく川のたもとで風に吹かれたり、無料卓球場で「温泉卓球」に興じました。浴衣で卓球、あまりにも定番過ぎて笑えます。


宿に戻ったら戻ったで、今度は内湯めぐりです。


ここの旅館は露天風呂以外にも様々な形状をした貸切風呂が館内各所に数種類あるという凝りようで、歴史ある鎌倉風呂など、いろいろ趣向に富んでいます。外湯巡りで骨抜きにされた三人はさらに三種の内湯に入り、内外合わせて合計九種の風呂攻撃を受けて、もはやトロントロンのアメーバのような状態で薄ら笑いを浮かべ、為す術もなく床に就いたのでした。


ああ非現実・・・!




⇒《二日目》へつづく


※ここでの評価はあくまで主観的なものであり、当方の感性によるものです。見る人によってさまざまな見方や感じ方がありますので、そういったものを批判・否定する意図などは全くないことをお断りしておきます。というか今回ほとんど草ヒロ出てきてないですね。

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